続き…
そうこういう間に、2番が始まる。
僕もまた歌い出した。
しばらくして、S助さんがやっと口をひらく。
Aちゃんに向かって言った。
「なっ、めちゃくちゃうまいやろ」
わー、S助さんが僕の歌ほめてるー!
すげーー!
うれしーーー!
Aちゃんはニコニコしたまま
「すごーい、うまーい」
と相槌をうっている。
…けど、おじさん分かってる。
Aちゃん、この歌と僕にそんなに興味がない事。
S助さんに気を使って相槌をうってる事。
S助さんなんでこんな所で歌聴いてるんだろう、と思ってる事。
S助さん早く行かないかなー、と思ってる事。
そんなの目を見りゃ分かる。
おじさん分かってる…。
(ちなみに僕とAちゃん、確か同じ歳です。)
とにかく、「恋」が一曲終わる。
みなさん、拍手してくださる。
S助さん
「これ、いくら入れたらよろしいんですか?」
「いや、もう、僕はなんとも言えないんで、そちらにおまかせします。」
これは、いつものセリフだ。
そうすると、S助さんは財布から千円札を取り出し、ギターケースに入れてくださった。
僕はなんだか嬉しかった。
変に聞こえるかもしれないが、それが一万円札じゃなかったからだ。
こういう時、S助さんには千円札を出してほしいのだ。
この感覚分かるかなー。
「ありがとうございます。」
S助さん
「ほんとうまいですねー。
どのくらい、こういうのやられてるんですか?」
「えっと、10年ぐらいですかね。」
S助さん
「どこに住んでおられるんですか?」
「○○です。」
S助さん
「お店とかでは歌われないんですか?」
またいつか説明するが、僕は実は数年前にほんの短い間だけ、雇われて高級ラウンジでスーツ姿で歌ってたことがある。
「ああ、歌ってたこともあるんですけど、すぐに辞めちゃいました。」
S助さん
「分かりますー。
誰も聞いてないような所で歌うの、辛いですもんねー。
めっちゃ、分かりますー。」
やっぱすごいなあ、そんな事まですぐ分かっちゃうんっすね。
とにかくS助さんは、物凄く納得されている様子だ。
そういう事を話しているうちに、気づくと、Aちゃんとあと2人のお連れの方は、S助さん側のお連れの方に何やら伝言して立ち去っていった。
ああ、S助さんももう行かれるんやろな、これで楽しい時間も終わりや、ほんとにいい思い出ができたなあ。
と、思っていると…。
S助さんから驚きの言葉が…。
「あのー、友達になってもらえませんか?」
えっ、
と・も・だ・ち ?
S助さん
「メールのやりとりとかしませんか?」
メールのや・り・と・り ?
僕が?
あの島田S助さんと?
あー、もうわけ分からん。
頭のなか真っ白や。
僕が、あまりの突然の申し出にパニックになってると、
S助さんは、こう言った。
「けっして怪しい者じゃありません。
島田S助です。」
分かってます、分かってますS助さん、
そんなの誰が見たって分かります。(汗)
「もちろん存じ上げております。
こちらこそ、よろこんでお願いします。」
それが、僕が言える精一杯の言葉だった。
S助さん
「じゃあ、必ずメールしますんで携帯のアドレスを教えてください。」
「あ、はい。」
そして僕は、携帯に登録してある自分のメールアドレスを、赤外線機能を使ってS助さんの携帯に送った。
S助さん
「じゃあ、必ずメールするんで、待っててくださいね!」
そう言ってS助さんとそのお連れの方達は、ようやくこの場から立ち去っていった。
は~、終わった~。
なんか、凄い事になってしまったなー。
僕とS助さんがメル友?
ほんまかいな。
と、ふと、今送った自分のメールアドレスを見てみると、
・・・・・・・・・・。
あ、間違えてる・・・・・。(大汗)
僕はvodafoneを使っているのだが、普段、携帯のメールを打つのがどうも苦手で、めったにアドレス交換などをしないので、携帯に登録してある自分のアドレスが、昔のJ-PHONEの時のままになっていたのだ。
しかし、だいぶ後になって分かった事だが、昔のアドレスでもちゃんと届くみたいだ。
だから、そのままでよかったのに、焦ってしまったおバカな僕は、50メートルぐらい先に行ってしまっているS助さん達を大声で呼び止めた。
「S助さーん!
メール間違えてましたー!」
大声に気づき、嫌な顔ひとつせずに戻ってきてくれたS助さんに、僕は事情を説明した。
(ほんと、優しい…。)
S助さん
「じゃあ、どーしよっか。
俺のアドレス、そっちに送ろっか。
ああ、けど俺(赤外線の)受け取り方分かるけど、送り方分からへんわ。」
お連れの方
「じゃあ、紙出しますんで、そこに今のアドレス書いてください。」
と、その人の手帳の1ページを差し出し、ペンを貸してくださった。
しかし、僕も今のアドレスはうる覚えだ。
あー、もー、じれったいっ。俺っ。
あっちも急いではるのにー。
冷や汗をかきながら、どうにかこうにか、そこにアドレスを書き、再びS助さんらと別れた。
しかし、それがいけなかった…。
案の定、間違えてたのだ…。
アドレスを…。 (二度目)
もー、バカ、バカ、バカ!
なんてバカなんだ俺は!
読んでるみなさんのイラつきはよく分かります。
だから、どうかイジメないでね。叩かないでね。
けど、間違えたのは、ちょっとだけなのよ。
僕は関西人だから
@k.vodafone.ne.jp
としないといけないところを
@vodafone.ne.jp
って書いちゃったの…。
叩かないで…。
だって、その時はそんな事忘れてたんだもの。
先生、果たして、メールは一文字違いでも届くものなのでしょうか?
<答え>
「絶対、届きません!」
ああ、世の中って、厳しいものですね…。(大泣)
みなさん、いつみなさんの前に有名人が現れてメール交換をするか分かりません。
だから、メールアドレスは常に最新のものを用意しておきましょうね。
ほんと、笑い事じゃない…。
しかし、この話にはまだ続きがある。
つづく… (またや。)
→「ポケベルが鳴らなくて」
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