酒と泪とレゲエと漬け物
せっかくランキングにも参加したことだし、更新のペースを速めるためにも、これからは大きい出来事だけじゃなくちょっとした事でもどんどん書いていこうと思います。
昨日(金曜日)の夕方は、ある有名企業のなんだかの会にお呼ばれして、なんとあの帝国ホテルで演奏してきた。
前に一度、ここ数年はこういう会での出張演奏の依頼はほぼお断りしていると言ったが、この会社の場合は、そこのお偉いさんが昔からの常連さんで何年も前からお世話になっているというのと、ギャラがかなり高額だというのが決め手になって、今回は依頼を引き受けたのである。(←いやらしい!笑)
この会はどうやら企業同士の1年に1回のお食事会のようなものらしく、出席されている方々皆さんが部長クラス以上で、4,50代の方がほとんどだった。
全部で5,60人はおったかな。
その中の出し物として、僕がいつも歌っているようなフォークソングが重宝されるということで、僕に白羽の矢が立ったみたいである。
しかしまあ、やはり帝国ホテルで行われる会だけあって、部屋はものすごく広くて豪華だし、各テーブルにはコンパニオンと呼ばれるホステスさんみたいな綺麗な女性が配置されていたり、僕の演奏にも専属の音響さんが付いてくださったりと、いちいちお金がかかっていた。
けど、それよりもなによりも、一番驚いたのは、僕の演奏の前に「前座」なるものが用意されていたこと。
僕の演奏がメインの出し物で、その前に前座としての出し物をもう一組呼んであるらしいのだ。
ほう、僕のためにわざわざ前座を…。
そもそも前座というのは、メインの出番の前にそれを引き立てるために行われるものであるはず。
僕が歌うフォークソングなんてものすごい地味なものなのに、僕が前座ならまだしも、それを引き立てる役目のものって、一体どんなものなんだろう?
リハーサル(機材設定やあれこれ)のために早めに会場に入っていた僕は、そんな興味心とちょっとした期待感を胸に控え室で出番を待っていた。
そして、本番。
僕はその前座の出し物を袖口から見て、腰を抜かすことになる…。
舞台上では、若い女性3人が音楽に合わせて踊りを踊っていた。
その踊りというのも、何と
「セクシーレゲエダンス」♡
だったのだ…。(苦笑)
(以下、イメージ画像)
こんな格好の女性達が、腰を激しくクネクネ・フリフリさせながら
こうなったり、
こうなったり、
こんなことになっちゃったりする踊りである…。
・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・。
おい、今回俺を呼んだおっさん!
こんな踊りの後に、どうやってフォークソング歌えっていうねん…。
集まったおっさん達、全員完全に目がイってもうとるやんけ…。(笑)
これが前座って…。
いやはや、すごい食い合わせである…。(苦笑)
こんなもん、俺の歌なんて、おっさん達にとったら、ものすごい豪華なフルーツパフェのあとに、漬け物がポツンと出されるようなものやんけ。
ああ、あの舞台に立ちたくない…。
この後結局15分ほど彼女達が踊って、その後僕が40分以上演奏したんだけど、そうはいってもやはりフォークソングというのはこの年代の方達には絶大なる支持があるようで、僕の歌も思った以上にお客さんたちの反応は良かった。
どうやら、デザートと漬け物は別腹のようである…。(笑)
と、ここまで書いてきたが、今日は別にこんな事を書きたかったわけじゃない。
一旦、レゲエダンスのことは忘れて欲しい。(笑)
・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・。
もう忘れた?
話していい?(笑)
えっと何が言いたかったかというと、いままでいつも僕は路上以外のこういう場で歌うときは、何日も前からすごく緊張して、本場中も無我夢中になって感情をいっぱい込めて歌うタイプの人間だったんだけど、今回僕はレゲエダンスとかそういうことは全く関係なく、本番当日まで全くといっていいほど緊張というものを感じなかったのである。
さすがに当日になれば緊張感もわいてくるかと思っていたが、それどころか本番が始まってさえもずっと冷静沈着で緊張のカケラも感じない…。
一見、緊張感が無いというのはプレッシャーがなくリラックスできていて、こういう舞台に上がるには理想的な感じがするかもしれないが、僕の場合はいい意味でリラックスできているとかそういうのではなくて、テンションが全く上がらず妙に冷めているという意味の緊張の無さだったのだ。
歌っている最中もテンションが上がらないのでうまく歌に感情を込めることが出来ず、感情を込めているフリをして歌い、頭の中ではずっと他の事を考えていた。
「ああ、俺一体こんなとこで何してるんやろう…。」
って。
(何度も言うが、さっきの前座のレゲエダンスが原因ではないよ。笑)
歌えば歌うほどむなしさは増して、40分間歌い終えた後僕はなぜか涙をこらえるまでになっていた。
それでもお客さんはすごく喜んでくれていたのだけれど、そんなことはもうあまり関係ない。
自分の中の問題なのである。
何かがおかしい。
僕の心の中で、今何かが大きく変わってきてるのだ。
10年間も生活のためにお金を儲けるためだけの路上演奏を続けてきて、いつのまにか純粋な音楽に対する情熱が消え失せてきてしまっているのかもしれない。
もちろん、いつも人の歌を歌っているだけなので、そういう意味のむなしさもあるのかもしれないけど、それ以上に、僕はやっぱりこういう場所で歌うべき人間ではないと思えて仕方なかったのだ。
今や僕は、れっきとした「ストリートミュージシャン」であって、「ストリート」という文字を切り取った、「ミュージシャン」というものではないのだということをなんだか痛切に感じたのである。
この後、家に帰った僕は、ひとり溜まっていた涙をすべて吐き出した。
そしてひとしきり涙を流した後、僕はまた準備をしなおして、結局いつもの路上演奏に出かけるのだった…。
(いつもの歌う場所に到着すると、なんだかホッとしている自分がいて、それもちょっと複雑な気持ちだった…。)
カッチカッチカッチ…。
僕の中で時計の音が鳴り響きだした気がした。
カッチカッチカッチ…。
僕ももう30歳。
そろそろ急がなきゃ。
いろんな意味で、タイムリミットは近づいて来てるのかもしれない…。
カッチカッチカッチカッチ…。
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