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2010年11月22日 (月)

TV

そういえば、少しばかり前の話なんだけど、

僕が仕事をしていたら、テレビ局の取材クルーが僕に話しかけてきた。

 

「えっと、わたしたちは、『秘密のケンミンSHOW』というテレビ番組のものなんですが、

実は今、

「大阪府民は、飲み屋では必ずやしきたかじんの『東京』を歌う」

というケンミン性を取材していまして、

先ほどお兄さんのリクエスト表を見せてもらったら、『東京』もレパートリーにあったので、

よかったらこれから、お兄さんが『東京』を歌ってる姿を撮らせていただけないかと思いまして。」

 

 

なるほど、それでさっきから彼らが何度か目の前を通った時に、その中の一人が僕のリクエスト表を熱心に見てたわけか…。

そして、彼らの言い分もよく理解できる。

だって、もし僕が逆の立場だったら、そんなテーマの取材の際に、飲み屋街のストリートミュージシャンまでもが「東京」を歌っている画を撮れたら、大収穫じゃないか。

 

 

でも、僕は絶対にイヤだ。

だって、何度も言ってるように、僕は何もストリートミュージシャンとして有名になりたくてこの仕事をしているわけではなくて、ただ単に「お金」を目的に弾き語りをしているだけだから、テレビに少し映ったところで、僕には何のメリットも無いのだ。

しかも、「秘密のケンミンSHOW」っていう番組内容を考えてみると、きっと僕は、スタジオ内でも、

「ほら、大阪ではストリートミュージシャンの兄ちゃんまで『東京』を歌ってらぁ!ワハハハハ!!」

みたいな、ストリートミュージシャンなら僕以外でも誰でもいい、おちょくり目線でのVTRの使い方をされるに決まっている。
   ↑
(被害妄想。笑)

僕だってこの仕事には強いプライドがあるから、

そんな、こっちが必死に歌っているのを、みんなに笑われるようなピエロにはなりたくない。

 

 

というわけで、

僕は丁重にその依頼をお断りしたんだけど、

敵もなかなかしぶとかった。

 

「なんでダメなんでしょうか?」

「いや、僕にも色々事情がありまして…。」

「お顔が映るのが都合悪いんでしょうか?それなら、後ろから撮るなどして工夫させてもらいますし。」

「いや、そんなんじゃないんですけど、ここで撮られるのはちょっと…。」

「もし場所が分かっちゃうのが嫌だとおっしゃるなら、それも工夫させてもらいますし。」

「…えっと、他のストリートミュージシャンじゃダメなんですか?探せば、どこかにいると思いますよ。」

「いや、どうしてもお兄さんがいいんです。」

 

多分、彼らからしたら、有名になりたい・目立ちたいはずのストリートミュージシャンなのに、テレビに映りたくないっていうのがどうしても信じられないんだろう。

しかも、彼らのそういう画が撮りたいっていう気持ちも分かるだけに、僕が少し遠まわし的に断ってしまったことで、余計に説得に時間が掛かってしまった。

 

そしてこの後、結局この時は彼らも根負けしてようやく立ち去っていったんだけど、

なんと彼らは、その後20分置きぐらいに、3回も4回も僕を説得し直しに来たのである。

「どうしても、ダメですか?」って。

きっと、他に「東京」を歌うようなストリートミュージシャンが近くでは見つからなかったんだろうけど、

ここまでされると、なんかちょっと、僕が悪いことをしてるような気分になった…。(苦笑)

 

 

 

そして、

それから1週間後のこと。

 

その日、僕は、東京から遊びに来ていた友達と2人で、心斎橋の商店街を自転車で走っていた。
(良い子のみんな。商店街では、自転車は押して歩こうね☆)

すると、道の前方に、テレビカメラ一台とそのスタッフが…。

良く見ると、

なんと奇跡的に、この前と全く同じ取材クルーではないか!

 

僕がビックリして自転車を止めると、あちらも僕に気付いた。

 

「わお!この前のお兄さん!こんなところで何をされてるんですか!」

「いや、ちょっと友達と自転車でブラブラしててね。っていうか、こんなとこでまた会うなんてビックリですね!そんで、この間はなんかすみませんでした…。」

「いえいえ、こちらこそ、お忙しい中しつこくお願いしてしまって、申し訳ありませんでした。」

「いや、とんでもないです。ところで、これってまた『ケンミンSHOW』かなんかの取材ですか?」

「そうなんですよ。今日は大阪府民の『トイレットペーパー』に関するインタビューをしてましてね。」

「へえー。そうなんやー。大変ですね。」

「…というか、やっぱり今日もお兄さんにインタビューなんかしちゃダメですよね?」

「え?いや、全然オッケーっすよ!むしろ、こっちからお願いしたいぐらいの勢いです。」

「え!?ほんとにいいんですか?」

 

 

…みなさんの、

「一体、どっちやねん!お前は!」

という心のツッコミはよく分かります。(笑)

 

でも、これだけは言わせてもらうと、

何を隠そう僕は、テレビ大好きミーハー野郎なんです!!

てへ。

 

幼い時から僕は、ずっとテレビばっかりを見て育ちましたし、

実は、短い大学生活でもマスコミ学科を専攻していたほどです。

だから、

この前だって、あくまでも仕事をしている僕を撮られるのがどうしても嫌だっただけで、

今日みたいなプライベートなら、何の問題もナッシングで、

逆に嬉しいくらいなわけです。

 

しかも、友達と全国放送のテレビに映るなんて、超楽しそう☆

なあ、けんしろう(友達の名前)!

大阪に遊びに来た記念になるよな!

 

 

 

で、

撮影は始まった。

心斎橋の商店街の隅で、カメラの前で満面の笑顔で並ぶ僕とけんしろう。

そして、僕ら2人にマイクを向ける、顔の映らないインタビュアー兼スタッフ。

 

「では、始めますね。」

「はい!!」

 

まず、マイクは僕の方に向けられた。

 

「すみません。あなたは、普段トイレットペーパーは何を使っていますか?」

「え?何をって、シングルかダブルかってことですか?」

「そうです。」

「あ、それなら、ダブルですね。」

 

スタッフの顔が少しこわばる。

 

…あ、俺、答え、間違えたかも。

だって、「ケンミンSHOW」で大阪府民へのインタビューってことは、

きっと、「大阪人はケチやから、みんなトイレットペーパーはシングルを使っている」的な趣旨なんだろうから…。

(注;何も僕が「シングル=ケチ」だと思ってるわけじゃないですよ。あくまでもテレビ的な捉え方としてです。)

ああ、このままじゃ絶対にオンエアーに採用されへん…。

嘘でも、すぐに機転きかせて、「シングル」って答えればよかった…。

しかも、ずっと前に、きっこさんのブログで「時代はシングル」って日記読んでたのに…。

なんであれから素直に「シングル」使ってないねん、俺!

アホ、アホ、俺のアホー!

あー、テレビ出たいーー!!

 

 

しかし、僕の横では、

次に同じ質問を受けたけんしろうも、笑顔で元気よく、

「僕もダブルです!」

と答えている。

(↑そもそも、東京人)

 

終わった…。(笑)

 

 

この後、

スタッフから、究極の苦笑いで

「ご協力ありがとうございました…」

と言われて、その場を去った僕達は、

2人の心を代弁するかのごとく突然降り出した大雨の中、

傘も差さずに自転車で心斎橋の街をさまよい続けたのであった…。(涙)

 

完。

 

 

いやー、

テレビに出るのって、難しいね☆

 

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