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2008年6月 3日 (火)

一万円とでっぱりと下心

運命の出会いからの続き…

 

とにかくそういうわけで、中洲で弾き語りをする場所を探している最中、ついに外山恒一さんと運命の出会いを果たした僕。

けどもちろん、この時の僕にはこれが運命の出会いだとか、この人が外山さんであるだとかは分かっているはずもない。

興味が止まらなくなっていた僕は、一曲歌い終えるのを見計らって恐る恐るその金髪の男性に話しかけた。

 

「あのー、すみません。
ちょっとお話させてもらっていいですか?」

 

「え?
あー、うん。いいですよ。」

 

彼は、手に持ったギターケースを見て、僕がストリートミュージシャンであることを認識したようだ。

 

「えっと、僕、今日大阪から来たばっかりなんですけどね、
お兄さんはいつもここで歌ってはるんですか?」

 

「あー、うんうん。
だいだいいつもこの辺で歌ってるね。」

 

思ったより気さくそうな人だ。

少し安心した僕は続ける。

 

「それでね、突然ちょっと失礼な質問かもしれないですけど、
この『生活費』っていうのは本当なんですか?」

 

「あー、これね、
本当だよ。」

 

「え!?
じゃ、じゃあ、このギターケースの中のお金もほんまに今日稼いだお金なんですか!?」

 

「そうだよ。
ほんとはもうちょっとあるけど、あんまり多いとあれだから、千円札は何枚か回収してるけどね。」

 

「え、え、え、あ、あの、い、いくらぐらい稼ぎはったんですか?」
   ↑
(明らかに興奮してきてる。笑)

 

「そうだなあ。
今日は今の時点で、1万円以上にはなってるんじゃないかな。」

 

「い、いちまんえん!!!???」

 

 

僕とノリヒサはお互いの顔を見合わせる。

もうわけがわからない…。

一万円といえば、大学生の僕が朝から晩まで必死にバイトして、それでもギリギリ稼げるか稼げないかの金額じゃないか。

そんな大金をこの金髪っつぁんは、今夜の「弾き語り」だけで稼いだというのか?

冗談じゃない!

さすがにそれは嘘にきまってる。

嘘にきまってる、さすがにそれは。(倒置法)

だって彼は、見たところそんな特別な弾き語りをしているわけでもなく、生ギターと生声で座って普通に歌っているだけだもん。

それがどうして1万円もの大金につながるのだ。

意味が全く分からない。

それにこの橋だって、狭い割にはある程度の人通りがあるけど、そんなにべらぼうな数の人が通ってるわけでもないし…。

それを証拠に、さっきから僕らが見ている範囲内では、誰一人として彼のギターケースにお金を入れた人はいないではないか。

そう思うと、彼の、金髪なのに真面目そうなメガネという独特のイデタチさえもなんだかうさん臭く見えてくる。(笑)

うーん、やっぱり嘘だよなあ…。

もうこのまま立ち去ってしまおうかなあ…。

 

 

とはいいつつ、

初対面の僕らにあまりにもあっさりとこんな事を話してくれる彼に対して、僕の興味心はとどまるどころか、もうメーターが振り切れてしまうほどの勢いだったことも事実で、この時、 

嘘だろが何だろうがもっとこの人の話を聞きたい!

と思う僕も一方で確かに存在していた。 

 

それは、若さゆえの(未知なるものへの)探究心からだけではなくて、もしかして初めから決まっていた「運命」のようなものだったのかもしれない。

だって、

これがほんとにすべての出発点になってしまったんだから…。

 

 

そしてこの後、結局僕達はしばらく彼との会話を続けた。

それによると、

彼の名前は外山さん。

27歳(当時)。学年でいうと僕の6つ上。

本人曰く、18歳の時に本を出版して、それが福岡で一時ベストセラーになったらしく、それ以来作家として活動するも、それだけでは到底食べていけないということで、今はこのストリートミュージシャンとしての儲けでほとんど生活しているらしい。

そして、そんな仕事としてのストリートミュージシャン生活をなんともう7年ほど続けているらしく、今やこういうストリート活動には心底アキアキしていると言っていた。

 

へえー、ほんとに変わった人だなあ。

こんな生活をしている人がいるなんて、世の中には僕の知らない世界がまだまだたくさんあるんだろうな。

すごいもんだなあ。

 

とにかく僕は、半信半疑ながらも、彼の言葉一つ一つにいちいち驚きや関心を隠せなかった。

(それでもまだ1万円のことだけは頑なに信じてなかったけど…。)

 

そんな中、ふと時計を見ると、いつのまにかもう10時すぎ。

話をもう少し聞いていたい気もするが、これ以上彼の言う「商売」の邪魔をしてもいけないし、このままじゃ僕もせっかく持ってきたギターの意味がなくなってしまう。
(今日は電車で来たから、終電で帰らないといけないのだ。)

かといって、これ以上場所を探している時間もなさそうだし…。

前回も言ったように、他のストリートミュージシャンや、なにより今この外山さんを見て、とにかく早くここ中洲でギターケースを開けて弾き語りをしてみたいと強く思い始めていた僕は、ここで外山さんにある提案をしてみた。

 

「えっとね、僕もどこかで弾き語りをしようと思ってるんですけど、もし迷惑じゃなかったら、僕もそこのスペースで歌ってみていいですかね。」

 

そして、僕はあるスペースを指差す。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

はい!

突然、ここでその「スペース」についての詳しい解説をします!

ちなみにこれ、完全に今思いついただけです!(笑)

 

えっと、

とりあえず地図で説明しますね。

 

まずこれが、西日本最大の歓楽街、「中洲」。

Photo_2

 

分かります?

ほら、ほんとに川に浮かぶ「中州状」になってるでしょ。

これね。

2

 

この中洲の右下らへんにね、ちょっと見えにくいけど「春吉橋(はるよしばし)」っていう橋があるのが分かりますか。
(分かりにくい人は地図をクリックしてみてください。)

ここね。

3

 

ああ、やっぱりまだちょっと分かりにくいから拡大しますね。

ドン。

Photo_3

 

え?

まだ分かりにくいって?

じゃあ、もっと拡大。

ドンドン。

Photo_4

 

これで分かりました?

このオレンジ色の大きい橋が「春吉橋」です。

それでね、その春吉橋の上にもうひとつ白くて狭い橋があるでしょ。

そう、

この橋で外山さんは歌ってたんです。

そしてこの橋って、2つほどなんか「でっぱり」みたいなのがあるの分かりません?

これです、これ。

Photo_5

 

あのね、この時外山さんはこの右側のほうの「でっぱり」で歌ってたんです。

そして、僕が指差したスペースっていうのが、その左側のほうの「でっぱり」だったわけです。

 

さあ、これで大体イメージつかめましたか。

え?

地図だけじゃまだいまいちイメージつかめてないって?

もう!世話が焼けるなー。

じゃあ最後にこれならどうだ!

ドドドーン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

2_2

 

ね、

分かったでしょ?(笑)

 

はい!

これにて、「場所&スペース」の解説終わり!!

本編に戻ります♡

(なお、「ほんとにどうでもいい解説だった…。」とかいう苦情は一切受け付けません。
僕が楽しかったからいいんです。笑)

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

というわけで、よく見てもらったら分かると思うけど、僕が指差したスペースっていうのは外山さんが歌ってる場所からせいぜい2,30メートルぐらいしか離れていない場所だった。

このぐらいの距離だと、お互いの演奏がある程度聞こえてしまって「商売」に影響がでるだろうから、多分嫌がられるだろうなと思い半分ダメモトで提案したんだけど、

外山さんの答えは意外にあっけないものだった。

 

「うん、全然いいよ。」

 

「…え?いいんですか?
ありがとうございます!!
じゃああのー、
僕も外山さんに習って、初めてギターケースを開けて歌おうと思うんですけど、それでも大丈夫ですかね?」

 

「うん、うん。やってみれば。
それで後でどのくらい儲かったか教えてね。」

 

うわー!

なんて気さくでいい人や!!

ある意味この人はほんとに大物なのかもしれないなあ、

・・・・・・・・・・・・・・、

1万円は嘘だろうけど。(←しつこい!)

(ちなみに、もし今の僕が逆の立場なら、初対面の旅人ミュージシャンに対してこんなにフランクに接することなんて到底出来っこない。
すごくめんどくさいし、「商売のジャマだ」と迷惑がっているはずだ。)

 

 

さて、実は僕がその場所で歌おうと思ったのにはある理由があった。

それは、

お金をたくさん儲けているというそのノウハウを盗み見てやろうという単純な下心。(笑)

 

いかにも分かりやすい理由かもしれないけど、この当時いつも「お金」の事でもんもんとしていた僕にとっては、どうしてもその

[ 道で歌を歌う = お金になる ]

という図式が頭の中でうまく理解できなかったのである。

それを、本人のこんなに近くで歌えれば、その様子もうかがい見ることができるだろうし、それと同時に、自分だってもしかして少しはお金を儲けることができるかもしれないと思ったわけだ。

もちろん何度も言うように、まだ信じきれてない部分もたくさんあったんだけど…。

とにかく、1つだけ言えるのは、

 

僕はもう「お金」の事だけで頭の中がいっぱいだったんだ!

 

わー!言っちゃったー!(笑)

 

 

 

さあ、そんなわけで、

20歳、ある夏の夜。

ただ観光に来ただけのはずだったここ福岡で、

僕の今後の人生を大きく左右することになる、初のお金儲け弾き語りが静かに幕を開ける…。

 

 

つづく…。

 

 

P.S.

いやー、また無駄に長くなってしまいましたね。

ここまで頑張って読んでくださった方、どうもありがとうございました。

まだ書いてみないと分からないんですが、この調子でいけば続きもまだまだ長くなる予感がプンプンします。(苦笑)

けどね、もうこれは僕のブログの宿命みたいなものなので、みなさんどうかあきらめてしまってください。(笑)

  

というわけで、

(また無駄に長ーい予定の)次回お会いしましょう。

 

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「見るまえに跳べ」

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