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2006年9月 2日 (土)

燃え尽き症候群

前回は、みなさんからのたくさんの温かいお言葉、ほんとにありがとうございました。

心から感謝しています。

いやー、しかし、新しい更新までに時間がかかってしまった。

なんでそうなったのかというと、それはもう簡単。

疲れたからだ…。

先週の4回にもわたる長~い文章。

読んでくださった人も、さぞお疲れになっただろうが、書いた本人は、いやあ、もう、ほんとやばいくらい疲れてしまったんです。

僕は、パソコンを始めたのが1ヵ月半くらい前で、それからすぐにこのブログを始めたので、ほんと、まだ超がつくほどの初心者なんです。

もちろんタイピングもまだすごい遅いし、ブログの扱い方に完全に慣れている訳でもなく。

そんな超初心者の僕が、あれだけ長い文章を書くのは、それはもう大変な道のりだったんです。

正直、先週一週間は、リアルに、仕事に出てる時以外は、ずーーーーーっとパソコンの前に座ってました。

あっ、嘘です。

正確に言うと、お風呂に入ってる時、トイレに行ってる時、ご飯を食べている時、鼻クソをほじっている時、宇宙の神秘について考えている時、君の事を考えている時、以外でした。

ほんと、それ以外はずっとパソコンの前に座ってました。

仲のいい友達からは、先週一週間は目がイっててほんとに怖かったと、おほめの言葉までいただきました。

それくらい頑張ったんです。

それに、書いてる文の内容が内容なだけに、一生懸命細かい部分まで思い出して書いてる内に、どうしても自分自身が当時にタイムスリップしてしまって、胸が苦しくてたまりませんでした

これが一番つらかったです。

自分の事だから、結末は分かっているので、早くそこに行き着きたいんですが、なかなかが進まないんです。

だから、最後の「ノーレイン ノーレインボー」の文なんかは、もうこれ以上更新を引き延ばせば、しまいには仕事にまで影響がでてしまうかもしれないということで、一気に書き上げてしまおうと決めていました。

金曜の仕事が終わって、土曜の朝から書き始めたんですけど、結局、一睡もせずに15,6時間もかかってしまった…

まさか、そんなにかかるとは…。
もちろん、書き始めた時には思いもよりませんでした。

もう、最後のほうは、意識がもうろうとしてて、ほとんど覚えてません。

うっすら覚えてることといえば、空から小さな天使達が降りてきて、僕とパトラッシュを天に召していったことぐらい。

「パトラッシュ、僕、なんだかとっても眠いんだ…。」

あっ、あかん、みなさんが一斉に引いていくのが、手に取るように分かる…。

あれ?ブログってどうやって書くんやったっけ?(笑)

彼、ブランクのせいで、ブログの方向性を完全に見失ってます。

大目に見てやってください。

とにかく、何が言いたいかというと、すべて書き終えたときには、心身衰弱で、もうしばらくブログの顔なんて見たくない、って感じになってしまったんです。

そして1週間後。

ようやくガスが抜けてきたので、ブログを再開させようと思っているわけでございます。

たぶん、ガクンっと内容は薄くなるけど、まあそれは気にしない気にしない。

その薄い内容第一弾として、今日は僕の通勤手段でも紹介しようと思います。

まだ言ってませんでしたが、実は僕、ベンツで仕事場まで通ってるんです。

はい、ベンツです。何か?

まあ、庶民のみなさまには悪いですけど、これが現実なんでしかたないんですよね。

あっ、証拠写真でも載せておきましょうか?

_002_1

はい、MYベンツです。(笑)

ちなみに、このベンツに積んでる荷物、めちゃくちゃ重いです。

慣れてる僕しか運転できません。

そして、このベンツ、走ってると、やたら警察に引き止められます。

これを必死にこいでいる僕がどうしても怪しい人らしいです。

と、まあ、このように、これからどんどん内容が薄くなっていくと思われるけど、気にしない気にしない。

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2006年9月 6日 (水)

繊細なお願い

ちょっと真面目な話をさせてもらいます。

最近、友達からの紹介でMIXI(ミクシィ)なるものを始めました。

この、ミクシィ、知っている方も大勢いらっしゃるとは思いますが、大変おもしろいサイトで、昔の友人を探せたり、同じ趣味の見知らぬ人同士が交流をもてたりします。

僕は、自分のページにこのブログのリンクを張っているんですが、わけも分からないままにミクシィ内で遊んでいると、結果いろんな方がこのブログを読んでくださるようになって、大変嬉しく思っています。

ただ、読んでくださる方が増えると同時に、ミクシィ内で、

「ブログを読んで、僕の歌に興味を持った。
見に行きたいので、場所を教えてほしい。」

というような内容のメッセージをほんとにたくさん頂くようになってしまいました。

これは、嬉しい誤算で、大変光栄なことです。

ただちょっと、僕にとって、ちょっとした悩みにもなってしまってるんです。

いろんな人に僕の生き方を知っていただきたいと思って始めたこのブログ。

それを読んで、僕の歌に興味を持っていただき、その歌を聴きにいってみたいと思ってくださるのは、ほんとに最大級のほめ言葉でもあります。

ありがとうございます。

ただ、ひとつ分かっていただきたいのが、僕はこの活動を、完全に仕事としてやっているということなんです。

他の一般的なストリートミュージシャンとは全く違って、自分の音楽をいろんな人に聴いてもらいたいとかではなくて、ただ仕事として生活費を稼ぐための演奏なんです。

こんなことを言い切ってしまうと、なんだかものすごい軽蔑されてしまいそうで怖いんですが、それが事実なんで仕方ありません。

そういう「仕事」なんです。
(もしよろしければ、右のカテゴリーから、「自己紹介」というのを選んでもらって、読んでいただければ分かりやすいと思います。)

だから、オリジナル曲や最近の曲はほとんどといっていいほど歌いませんし、場所がら、通る人に合わせて昔のフォークソングばっかり歌っています。

そんな僕の演奏を、音楽として、わざわざ足を運んでまで聴きにきていただいても、たぶんなんだか拍子抜けしてしまうと思うんです。

なんだ、こんなもんか、と。

正直、僕の歌は、「音楽」という単体の面だけでみると、ほんとそんなたいしたものではないですし、僕はその他のいろんなファクターを合わせてなんとか儲けているといった感じなんです。

40代、50代の方が、飲み屋街でお酒を飲んだ帰りに、ほろ酔い気分で昔を懐かしむ。

こういうワンセットなわけです。

おそらく、このブログを読んでくださっているような若い世代の方がシラフで楽しめるようなものではありません。

それに、せっかく来ていただいたとしても、僕も仕事を続けなければいけないので、ほとんどお相手ができないっていうのが、僕の中でネックですし。

分かってもらえるでしょうか?

けど、何人かいらっしゃったんですが、場所を教えないなら、自力で探してやる、そして見つけたら声をかけずにそっと遠くから聴いている、それなら仕事の邪魔にならないでしょ、っていうのも申し訳ないけどナシでお願いします。

こう見えて(どう見えて?)、僕はすごい繊細なんです。

ブログを見てくださっている方が、いつ見にくるかもしれないと思って仕事をしていると、変に肩に力が入ってしまって、仕事に集中できなくなってしまいますし、ましてや、どこかで聴いているかもしれないなんて考えると、緊張しすぎて、仕事にならなくなってしまいます。

僕も繊細ですが、この仕事もほんと繊細な仕事なんです。

だから、この微妙な心情もなんとか分かっていただきたい。

自分でブログを作っといて、こんなお願いをするのは、ほんと生意気でどれだけ自信過剰やねんと思われるかもしれませんが、やはり仕事にまで少しでも影響してしまうと、ブログをやっている意味が無くなってしまいます。

僕としても、せっかく始めたこのブログを、長続きさせたいんです。

そりゃあ、僕だって、ブログを読むという逆の立場だったら、有名人が大勢聴いてくれただの、それだけで暮らしているだの聞いたら、どんな歌か絶対気になります。

それを、見に来ちゃダメなんていわれると、なんて傲慢でもったいぶった奴なんだろうと、腹がたつと思います。

ただ、実際の友達の中にでも、僕の仕事を教えてない人が何人もいますし、仕事を知ってたとしても、どこで歌っているのかは教えていない人も何人もいるぐらいなんです。

だから、どうかそこを理解してやってください。お願いします。

じゃあ、偶然、ほんとに偶然、そこを通りかかって、僕らしき人を見つけてしまったら、どうしたらいいのか、ということになりますが、それはもう何かの縁、その時は黙って通り過ぎるなんてことはせずに、思いっきり声をかけてやってください。
「ブログを見てる」と。
きっと、大喜びします。

もう!どっちやねん!煮え切らんやっちゃのー!
と思われる方もたくさんいると思いますが、ほんとに偶然ならそれはまったく別の話なんです。
僕も心の準備がいりませんし。

とにかく、まあ自分勝手で煮え切らない話を長々と書いてきましたが、なんとかご理解していただきたいと願っております。
まあ、ほとんどの方が、はじめからお前の歌なんてわざわざ聴きにいくつもりなんかないよ、という人ばっかりだと思うので、そういう方は、ああ、なんかバカが吠えてるな、程度に聞き流してやってください。すいません。

それだけです。

こんな僕と僕のブログですが、これからもどうか応援よろしくお願いいたします。

追伸

ああ、今回で、見てくれてる方が一気に減ってしまいそうな予感…。(涙)

けど、今回のことは、最後の最後まで書こうかどうか迷ったけど、今後のためにも早いうちに書いておこうと決めたんです。

後悔するな、たかゆき!

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2006年9月 7日 (木)

よんまい

さあ、前回は生意気なことを書かせてもらったので、今回はちょっくら、実際僕がどれだけ、音楽と関係のないところを含めてこの仕事をしているのかを、紹介したいと思います。

先に言っときますが、まったく一般の方の日常生活には役に立たちませんので、あしからず。(笑)

そして、なによりも、引かないでね…。

ちょっと、心配…。

まず今日は、ギターケースの中のお金の話。

みなさんもご存知だとは思いますが、大抵の(お金儲け)ストリートミュージシャンは、自分のギターケースのフタを開けて、そこに、聴いてくださるお客さんからお金を入れてもらいます。

僕も、例にもれずそうしています。

通る人達は、そのギターケースの中に入ったお金の量を見て、だいたいそのミュージシャンがどれだけ評価されているか、大まかな察しがつくわけです。

ただ、僕が他とちょっと違うのは、そのギターケースの中のお金の見栄えさえも、厳密にいえば商売に影響するんではないかということで、ギターケースの中をこまめに偽造しているところなんです。

ほんとに細かいことなんですが、僕のこだわりです。

言い換えれば、ちょっとした仕事ノイローゼですね。

説明すると、

やはり、日本人はToo シャイシャイボーイな方が多いんで、曲を聴いた後に、たとえ感動してくださったとしても、こういうのはいくら入れたらいいかが分からないっていう方がたくさんいらっしゃると思うんです。

そういう方は、まず大抵、それまでに入ってるギターケースの中のお金を見ます。

そして、そこから、他の人がどれくらいの額入れているのか、この人がどれだけ人気があるのか、などを推測します。

そして、最終的に入れてくださる金額が決まるんです。

この習性を、利用しない手はありません。

僕は、10年前この仕事を始めた時から、ずっとデータをとってきました。

何のデータかというと、日本人は、ギターケースの中にどれだけお金が入っていれば、より多くのお金を入れてくれるのかという壮大なデータです。
(なんか、トリビアの種みたい…。笑)

今回、より多くのお金というのは、千円札ということで話を進めさせてもらいます。

僕の仕事の中では、いかにしてお一人につき千円を入れてもらうかというのが、一応の基本であり、目標であるからです。

そして、3年ぐらいで、ようやく1つの答えが導き出されたんです。

今日は特別に、普段は39,800円のところ、19,800円で、みなさんにこの答えをご奉仕!


こんなトラックバックが、放っておくとすぐ貼られるんで、いつもこまめに消してます。(笑)

アホなことを言ってる間に、先に進みます。

えっと、今回は特別に、写真付で、その答えを解説していきたいと思います。

まず、大前提は、多すぎても、少なすぎてもダメだということ。

さらに、入れておくお札は千円札だけにするということ。

やはり、ギターケースの中のお金が少なすぎると、ああ、誰も彼の歌は聴いてないんだなと解釈され、なかなか千円札は入れてもらえません。

逆に、ほったらかして多くなりすぎても、なんだ、こいつはもう十分儲けてるじゃないか、路上で歌ってるだけなのになんか鼻につくなと、うとましく思われてしまって、なかなかお金に結びつきません。

五千円札や一万円札が入っていても、同じ理由で、ダメです。

多すぎず、少なすぎない、ちょうどいいあんばいがいいんです。

彼はそこそこ人気もありそうだが、苦労してそうなので、俺もお金を入れて応援してやりたい、と思わせる、ちょうどいいあんばい。

その、ちょうどいいあんばいとは、研究の結果、千円札が4枚だったんです。

3枚でもない、5枚でもない、4枚なんです

もちろん、千円札の他に、小銭も入れておきますが、そのことはまた後で説明するとして、とにもかくにも千円札は4枚なんです。

さあ、なぜ4枚なのか、実際に写真で説明していきましょう。

小銭の事は後で説明するので、まずは小銭は無い状態で見ていきます。

はじめは、一枚も千円札が入っていないギターケース。

_004

こんな空っぽのケースに、誰が千円札を入れるでしょうか?
(はは、右下に完全に千円札が見切れてるけど、気にしない気にしない…。汗笑い)

よくて、小銭でしょう。

次に、お札が4枚以上の場合。

_006

みなさん、誰がこんなケースに自分の千円札を付け足そうと思いますか?(笑)

(すいません、やりすぎました…。)

ねっ、4枚くらいがいいでしょ? 

さあ、お札は4枚と決まったところで、(強引かつ大胆!)

次は、その置き方。

_003

こんな向きのそろった置き方じゃ、極めて不自然だし、(笑)

_005

全部折りたたんであっても、なんかちょっと嫌。

_007

やっぱり、このぐらいの置き方がいいわけです。

2枚ペッタンコ、1枚折りたたみ、1枚半折れ。

自然でしょ?

じゃあ、これに小銭を足してみましょう。

_010

ほらっ、いい感じになってきましたねー。

あなたも、千円入れたくなってきたでしょ?(笑)

じゃあ、次に、小銭について考えてみましょう。

小銭は、基本としては、多ければ多いほどいいです。

小銭は、いくら多くても、嫌味には見えないからです。

自然さが増します。

そして、なるべく500円玉は目立つように置きましょう。

ただ、気をつけなければならないのが、1円と5円と10円玉の扱い

僕はいつも、10円玉は数枚だけに保ってますし、1円玉と5円玉は入った時点で、お客さんが帰った後、すぐに回収しています。

写真を見れば分かると思いますが、10円玉が多くて、1円や5円がはいっていると、急に安っちくなっちゃうんです。

比べてみましょう。

_013

これと

_015

これ。

ねっ、なんだか安っぽくなるでしょ?

俺も、財布の中にあるちっちゃい小銭を、ジャラジャラ入れてやろうかという気になっちゃいそうでしょ。

だから、小銭の扱いも大変なんです。

さあ、これで、みなさんもだいぶ分かってきたと思うんで、ここで卒業試験です。

はじめに僕が、「千円札は、3枚でも、5枚でもない、4枚だ。」と言いましたが、その細かい差を最後に実証してみましょう。

今なら、みなさんも、僕の言ってたことが理解できるはずです。

では、スタート!

まずは、3枚。

_012

次に、5枚。

_011

最後に、4枚。

_010_1

ほらねっ!

さあ、みなさんの中で、今、

「あっ、ほんとだ!4枚が一番いい!」

と思った方。

あなたはきっと、僕と同じノイローゼです。(笑)

くれぐれも、変なキャッチセールスとかにひっかからないでくださいね。

とにかく、僕は本当にいつも写真のようにギターケースの中を、細かくこまめに偽装しているわけです。

少しでも多く儲けようという、ある意味仕事への執念です。

分かってほしいのは、そのくらい、路上弾き語りだけで長く生活するっていうのは、シビアな話だっていうことです。

けど、不思議なもんで、いつも4枚なのに、常連さんもほとんどの方が、それに気づいてません

例え気づかれても、このぐらいのことは、笑ってごまかせば済む話ですし。

そしてこの仕事には、他にもまだまだこだわりがあるので、いずれちょこちょこ紹介していきますね。

ほらねっ、まったく、音楽と関係ないでしょ。(笑)

そして、こんな話、誰が興味あんねんやろ…。(苦笑)

ああ、前回と合わせて、ますますみんなが引いていく…。

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2006年9月10日 (日)

それ行け!奥田瑛二くん

まず、前回の補足として言っておきたいことがあります。

あらためて前回の記事を読み返してみると、なんだかそれだけ読んだ人に誤解を生ませてしまいそうな気がしたからです。

いつも僕は、自分の歌にはそれほど自信を持っていないだとか、たいしたことはないだとか言っていますが、それでもやはり、この仕事の中心は誰がなんといおうとです。

周りからみればやはり、僕は普通のストリートミュージシャン。

歌に満足していただけないと、お金うんぬんなんて話になるわけがない。

前回の話はあくまでも、歌に満足してもらった後、その後、さあいくらお金を払っていただけるかという、「歌+α」のお話ですよ。

そこの説明がどうも足りなかった気がします。

僕はいつも、お客さんに対しては、好調不調の波は激しいですが、その時自分ができる範囲で精一杯歌を歌います。

もうちょっと正確にいうと、あちらが求めているものに少しでも近づくように、最大限努力して歌を演じています

そういう意味では、今まで一度だって手を抜いたことはありません。

こんな僕の歌、もちろんお気に召さない方もたくさんおられるとは思いますが、そのかわり、逆に、すごく気に入ってくださる方も有難い事にものすごいたくさんいらっしゃるんです。

もちろん、歌に満足していただけなかった場合は、その方からお金をいただこうなんて1ミリたりとも思いません。

僕はこれが精一杯なんですいません、と言って帰っていただくしかしかたありません。

そして、その方は、二度と僕の前に立ち止まってくれることはないでしょう。

じゃあ、歌に満足していただいた場合はどうなんだろう、という話なんです。

歌に関しては最大限努力した、じゃあその他にももっと努力工夫をできるところがまだまだたくさんあるんではないだろうか、ということなんです。

仕事として。

お金を儲ける身として。

そのプラスアルファの努力の一例が、前回の話だったわけです。

そして、そのプラスアルファがまだまだあるんだよ、と。

少し理解していただけましたか?

ちょっと気になったんで、補足させてもらいました。

さあ、話はガラっと変わります。

今までの真面目な話はなんだったんだろうというほど、さっきの話とはまったく関係ありません。(笑)

あのー、2,3日前、ネットでニュースを見てたら、どうやら俳優の奥田瑛二さんが監督された映画「長い散歩」が、カナダのモントリオール世界映画祭で、見事最高賞のグランプリを受賞した、というニュースが載っていました。

Photo_2

これは素晴らしい事です。

日本の映画が、世界の大きな映画祭でグランプリを獲る、日本映画にとってこんな名誉なことはありません。

しかし、奥田瑛二さんは俳優だけじゃなくて、最近は監督業にもすごい力を入れられてるんですね。

それが、さっそく結果になって、素晴らしいですよね。

やっぱりすごいなー、奥田瑛二。

奥田瑛二、すごいなー。

奥田すごいなー瑛二。

すご奥田いなー瑛二。

最近元気してるんかなー、奥田くん。

最近会ってないなー、奥田くん。

またあの頃のように、一緒に音楽したいよね。奥田くん。

えっ?そうですよ。僕と奥田瑛二くんは昔、音楽仲間だったんですよ。

言ってませんでしたっけ?

一緒にセッションしたりしてね。

熱かったよね、あの頃の俺たち。

ん?何が言いたいんかよく分からんけど、とにかくなんかうっとおしいって?

うん、僕もちょうど、そう思ってたとこです…。(笑)

なんか寝起きの変なテンションなんです。気にしないでください。(苦笑)

とにかく、何が言いたかったのかというと、以前何年も前に、奥田瑛二さんが僕の仕事場にやってこられたということなんです。

映画のニュースで、それを思い出したんです。

その時の話をします。

何年も前のある日、奥田瑛二さんが5,6人で、「奥田瑛二御一行」という感じで僕の前を通りすぎていった。

僕は、「一曲どうですか。」と声をかける。

すると、奥田さんは他の方をほったらかすようにして、僕の真横にどしんと座られた。

少し、お酒の香りがする。

実は、僕は、奥田さんが大昔に出演されていたドラマ「男女7人夏物語」の大大ファンで(若い世代の人は知らんかなあ。)、ビデオも全巻持っている。

その事を興奮した僕が伝えると、奥田さんは

「そう。」

と、ただ一言だけ、さもそんなことには興味なさそうにポツリと答えた。

「ちょっと、マイク貸してよ。」

続けざまに、そんなビックリするお願いをしてきた奥田さんは、僕の答えを聞く間もなく、マイクスタンドを自分の方に向けられた。

そして、ズボンのポケットからブルースハープ(ハーモニカ)をひとつ取り出した。

え?自前?いつも持ち歩いてんの?

「何か、Eの曲弾いてよ。」

そう言われて、もう、何がなんだか分からないが、とにかくその存在というかオーラに圧倒されて、僕もよく分からないまま、とりあえず、Eのブルースを即興で弾き始めた。

ここから、僕と瑛二の、立場のまったく違う二人の、不思議な初対面セッションが始まった…。

僕が激しくギターをかき鳴らせば、瑛二のハープがそれに応え、瑛二がスイングすれば、僕もそれに応える。

僕がニューオリンズの風を感じれば、瑛二もメンフィスの風を送りかえす。(?)

と、まあ、そんな素敵なセッションが繰り広げられた、

なんてことは全くなく

奥田さんは自分の思うがまま自分のペースでハープを吹き続け、僕が必死にそれにギターを合わすといった心の通い合わない演奏が続いた…。(苦笑)

そうするうちに、どんどん人が集まりはじめた。

そりゃそうだ。

あの奥田瑛二が、道端でハーモニカを吹いているんだから。

さぞ、すごい光景だっただろう。(笑)

人ごみは、人だかりに変わる。

その時、それを見計らったかのように、奥田さんのお連れの人間が、カバンからなにやらポスターを取り出して、ハープを吹き続ける奥田さんの横でそれを人だかりに見えるように広げだした。

確か、その当時公開されていた、奥田さんの主演映画の宣伝ポスターだったと思う。

な、なんて、営業熱心なんだ…。

こんなことまでも宣伝に変えてしまうとは。

しかし、俺の立場は…?

私は、だあ~れ?

そんな時、僕はギターを弾きながらも、チラリと奥田さんの様子を眺めてみる。

隊長!だめであります!奥田大佐は完全に違う世界に行っておられます!

自分の横で、自分の映画のポスターを掲げられているにもかかわらず、奥田さんは、我関せずといったおももちで、夢中にハープを吹き続けられている。

目も不思議なところを見つめられている。

もう正直、僕の存在すらも忘れている感じだ。

んー、まあ、それはそれとして、ところで、このセッションいつまで続くんでしょう?

いっても、始まってからもう7,8分はたっている。

僕もちょっと疲れてきた。

長い…。

目で訴えようにも、奥田さんは違う世界におられるし…。

取り囲む人達も、少し飽きてきたのか、だんだん減っていく。

しかし、ようやく10分ぐらいすぎたあたりで、奥田さんのハープが突然テンポをゆるめだす。

どうやらエンディングのようだ。

ふうー、やっと終わった…。

僕のギターもテンポをゆるめ、最後、Eのコードで締めくくる。

ジャララ~ン。

残っていた人達から、一斉に拍手や歓声が巻き起こる。

パチパチパチ。ヒューヒュー。

奥田さん、ハープをポッケにしまい、おもむろに立ち上がる

そして、みんなにお礼でもするのかなあと思って見ていると、お客さんには目もくれず、さっそうとそのまま立ち去っていった…。

えっ!?

もちろん、僕にも何の一言もなしに…

それを見たお連れの方々は、慌てて奥田さんを追いかけていった。

一人マネージャーらしき人だけが、走って戻ってきて、

「すみませんでした。」

と言って、ギターケースにお金を入れていった。

取り囲んでいた人達も、なんだ拍子抜けといった感じで、ぞろぞろ帰っていく。

取り残された僕一人…。

ぽっつーん…。

ほんとにそんな音が聞こえてきそうな、見事な取り残された感だった。(笑)

いやあ、やっぱり、奥田瑛二はただ者ではない

だって、いっつもポケットにハープしのばせて、たまたまそこにいたストリートミュージシャンとセッション始めて、やるだけやりつくして、そのまま帰っていくねんで。

そんな一般人いない!

そんな人が、凡人なわけがない。(笑)

恐るべし!奥田瑛二!! 

ほんと、モントリオール世界映画祭グランプリおめでとうございました。

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2006年9月14日 (木)

古い日記

Photo_3

今日(昨日?)は仕事が休みの日だったので、珍しく部屋の掃除などをしていたら、TV台の下から昔の日記が出てきました。

以前お話した日本一周の旅の時につけていた旅日記です。

時期の違う、良元優作との2人旅バージョンと、半年続いた1人旅バージョンがあります。

しかし、旅日記とは名ばかりで、どちらも初めの1ヵ月分ぐらいすら書けていない、未完成品となっています。

僕の性格上、あまりにも細かく書きすぎて量が多くなり、その日の出来事をその日の内に書ききれなくなって、次の日次の日と先送りしているうちに未完のまま旅が終わってしまったのです。

(このブログも、そうなってしまわないことを願うが…。)

とにかく、未完とはいえ、懐かしくなって、今日はその2つの日記をじっくりと読み返してみました。

すると、やはり文章自体は若い部分もたくさんあるんですが、読み進めるうちに、当時の熱い想いがよみがえってきて、なんだか胸まで熱くなってきたんです。

そっか、俺は若いうちに、こんな貴重な経験をしてきたんやなあ。

すごい財産やなあ。と。

そして、なんだかせっかく書いたこの日記、このままTV台の下に埋もれさせとくのはもったいなくなってきました。

そりゃあ、今よりもっと若い僕が書いたものだから、内容や文章も薄かったり粗かったりする部分はたくさんあるけど、このブログを使って、少しは日の目を浴びさせてやろうという気になったんです。

というわけで、これからたま~にその日記の一部を、このブログに載せていきたいと思います。

みなさんも、どうかお付き合いのほどよろしくお願いします。

まず今日は、2人旅のほうの日記から。

これは、別にどーってことはない話なんですが、なんだか少しだけ気になったので、載せておきます。

山口県でのちょっとした出来事。

ちなみに、僕も優作も、当時23歳でした。

『   
     2000.10.21(土)

昨日、あの後すぐに広島を出発した俺らは、福岡に向かうことにした。
途中、山口県の国道沿いの駐車場で仮眠をとった。

女の子の声で目が覚めた。

「そんなとこ入っちゃ危ないよ。
こっちへおいで。」

見ると、小さな女の子が俺らの車の横で、車の下をのぞきこみ、両手を前に出している。

「どうしたん?」

俺が、車のドアを開け尋ねると、

「子猫が、車の下に入りこんでしまったんです。」

と、困った顔。

「君の猫?」

「ちがいます。
この駐車場に住んでいるノラ猫です。」

小っちゃいのにえらいていねいな言葉遣いや。

車から降りて見てみると、確かに子猫が車の下にうずくまっている。
俺が手を差し入れてゴチャゴチャすると、車の下から逃げていった。

一件落着。

「ところで、おじさん達は、ここで何をしているの?」

お☆お☆おじさん!?

ここはどこ?わたしはだあれ?もう何も見えない、聞こえない…。

いつかは、この時が来るとは思っていたが、まさかこんなに早くおとずれるとは…。

たかゆき 弱冠23歳。
ただ今より、おじさんの仲間入りであります。敬礼。

「お、おじさん達は、ここで寝てたんだよ。
君は、こんな所になんでおるん?」

「さっきここを通りかかったら、かわいい猫がたくさんいたんで、家まで帰ってから三輪車で戻ってきたの。」

「何年生?」

「3年生です。」

見渡すと、確かにたくさんのノラ猫がおる。
女の子は、その中の一匹を指さし、言った。

「あの黒い子猫がとっても小っちゃくてかわいいんだけど、こんな駐車場じゃ、ろくにご飯も食べられなくてかわいそうだし、車にひかれたりしたら大変だから、家に連れてかえって、飼ってあげたいと思うの。」

必死で、飼うための理由をこじつけている感じだったが、子供というのはたいていそういうもんや。
俺が何を言ってもはじまらん。

「家の人は、許してくれるんかいな。」

「うん、だから、今から捕まえて、一度家に連れてかえって、お母さんに見せてこようと思うの。
そうしたら、許してくれるかもしれない。」

ここから、その子と俺の一大捕物劇が始まる。
いや、一大捕物劇なんていうのは大げさだ。
1時間、いや4,50分、いや2,30分。
あの手この手を使い、黒猫を捕まえた。

「後で、ちゃんと手洗うんやで。
そいで、もしほんまに飼うことになったら、1回ちゃんと動物病院に連れていくんやで。
何か病気持ってるかもしれんからな。」

それだけ俺が言うと、女の子は

「ハイ。ありがとうございました。」

と言って、笑顔で、黒猫を抱えて帰っていった。

しかし20分後、哀しい顔をして猫と一緒に帰ってきた彼女は

「やっぱり、だめだった…。」

とだけ言って、猫を手から離した。
猫は走って群れにもどり、こっちを見ている。

「まあ、しゃーないわ。
この猫にとっても、何が幸せかわからんからなあ。
君といっしょで、お母さん達といっしょに暮らすのが、この猫にとっての幸せかもしれんもんなあ。」

「うん。わかってる。」

素直で、いい子や。

「俺たちも、もう行かなあかんわ。
最後に、記念に何かあげよう。」

そう言って、ポッケにあった、使い古しのピックを取り出し、

「これはギターをひくための道具で、おにいちゃん達が使ってたやつや。
大事にしてな。」

と言って手渡すと、女の子は大喜びして、

「ありがとう。大事にする。
もし2人が有名になったら、すごい価値になるね。」

と、満面の笑顔でこっちを見た。

な、なんていい子なんや。
ピックごときで、ここまで喜んでくれるとは。
もう、おじさんでもなんでもいい。

この後、俺たちが出発する準備している間に、女の子は

「さようなら。」

と言って帰っていった。

10分くらいたって、さあ出発だと、スタートしてしばらく走っていると、道路のわきで、俺らを待っていたんだろうか、さっきの女の子が一生懸命大きく手をふっている。

背景の田園風景と重なって、まるで映画のワンシーンのようだ。

俺らも窓を開けて、大きく手をふった。

「バイバーイ。」

たぶん君を忘れません。       
                        』

とまあ、話自体は、ほんとなんてことはない話なんですけど、正直僕は、今日これを読むまで、この女の子の事は忘れていました

ただ、これを読んだ途端、当時の状況がほんとに鮮やかに頭の中によみがえってきたんです。

やっぱり、どんな事でも、何か記録に残しておくっていうことは、すごい大事なことなんだなということが分かりました。

このブログも、将来そう思えるような物になればいいなと思った一日でした。

今日はそれだけです。

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2006年9月17日 (日)

女心と秋の空

このブログは、過去の話が多い。

おかげさまで10年近くもこの仕事を続けていると、そりゃまあ、ほんとにいろんな事を経験してきたからです。

もちろん、現在進行形の話も書いていきたいんですが、それはちょっと待っていてください。

今、実を言うと、島田S助さんがらみの、ちょっとした新しい話があるんですけど、はっきりとした詳細が決まるまでもうちょっとだけ時間がかかりそうなんです。

詳細が決まりしだい、ちゃんと順を追って説明しますので。

だから、それまではもう、これまで通り、

過去の話で間をもたせていただきます。(笑)

というわけで今日は、この仕事を始めて間もない、僕がまだ21,2歳のころのとある出来事についてお話します。

いつも言っていることだが、ここは飲み屋街
やはり、いろんな人がいる。

その女性は、かなり酔っていた

年齢は、30代後半ぐらいだろうか。
一人で歩いている。

千鳥足で僕のもとにやってきて、歌を2,3曲聴いていった。

普通、この後、曲を聴いてくださった後のお客さんの行動は、何パターンかに限られる。

お金を入れて、帰っていかれるか、歌が気に入らずに、そのまま帰られるか、まあ大抵どちらかの行動である。

ただ、この女性は、ちょっと違った。

歌が終わり、拍手をしてくださったまではいいが、この後突然、当時僕の左腕にはめていたNIKEの腕時計を指さし、

「その時計いいなあ。わたしの時計と交換してや。」

と、決して歌終わりの会話とは思えない、なんとも訳の分からない提案をしてきたのだ。

突然の予期せぬ申し出に、僕が困惑していると、その女性はさらに、

「なあ、いいやんか。
わたしの時計あげるから、あんたの時計ちょうだいや。
なあ、お願い。

と、迫ってきた。

このNIKEの腕時計、デザインは気に入ってるけど、実際一万円もしない、どこにでも売ってる時計である。

どこに、突然欲しくなるような、そんな魅力があるのだろう。

とはいっても、やはり僕にとっては愛着のあるものだし、見ず知らずの女性の時計と交換できるほど、簡単なものじゃない。

「いやいや、僕も大事な時計なんで、それは無理ですよ。」

「もうー、そう言わんでよー。
わたし、この時計いらんねん。
そっちの時計がほしいー。」

「いらん、っていわれても…。(苦笑)
僕のは、いるんです…。」

「もー、頑固なやっちゃな。」

どっちが頑固やねん。(笑)

とにかく、こんなちょっと不思議な押し問答がしばらく続いて、最終的には、女性もあきらめてくれたんだけど、この後この女性、さらに驚きの行動を起こした。

「もーええ。わかったわ。あんたの時計はいらん。
じゃあ、あたしのんだけあげる。」

と言って、なんとその女性は、自分のはめている腕時計をはずし、ギターケースのなかにポイっと投げ入れて、そのままスタコラと立ち去っていったのだ。

おいおいおい。ほんまに訳分からんなあ。

時計、投げ捨てていったで…。(苦笑)

どうせやったら、何曲か歌聴いたんやから、お金入れていってくれよ…。(本音)

しかし、ギターケースの中から時計を取り出した僕が目にしたものは、驚愕の事実だった…。

つづく…。

 

「ローズちゃん」

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2006年9月20日 (水)

ローズちゃん

続き…

よんまい」の時に説明したように、ギターケースの中の時計をそのまま放置しておくのも嫌だったので、僕は女性が去ってすぐに、その時計を取り出した。

手にしてみると、案外重みのある、女性用のかなり小さめの腕時計だった。

金属製の銀色のベルトで、長さは調節できないタイプだ。

ふと、興味本位で、文字盤に目がいく。

どこのメーカーのんや?

どれどれ…。

アール、オー、エル、イー、エックス…?

R ・ O ・ L ・ E ・ X …?

え?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

ROLEX(ロレックス)やんけ!!!!

きゃぁーーーーーー!

ろ、ろ、ろ、ロレックスやーーーーー!

ルーラックスや、ロメックスっていうのは見たことあるけど、本物を見たのは初めてや。

こりゃえらいこっちゃで。

その時、時計を握りしめたまま、誰にもこの事実に気付かれていないか、本能的に周りを見渡すが、みんなそしらぬ顔で歩いている。

その女性も、どこに行ったのか見当たらない。

はあ、まさかロレックスの腕時計を、ギターケースに投げ捨てていくとは…。

変ながにじみ出てくる。

さあ、どうしたもんか。

とりあえず僕は、そのロレックスを自分の腕にはめてみる。

って、

もちろんはまるわけがない。

だって、女性用だもの。

けど、試しちゃうの。

分かるでしょ、この乙女心。

もちろん、もしはまったとしても、こんなのじゃ街は歩けないわよ。

だって、女性用だもの…。

しかし、これ、本物かいな?

最近は、精巧にできたイミテーションが街中いたるところで売られてるみたいやからなあ。

もう一度、時計をよく見てみる。

確かに、文字盤には、はっきりと「ROLEX」の文字が。

文字盤の周りはゴールドだが、ダイヤなどはどこにも散りばめられていない。

シンプルといえば、シンプルなデザインだ。

まあしかし、そんなに精巧に作られているんだとしたら、僕みたいなまったくの素人に見分けがつくわけがない。

ああ、困った、困った。

もし、これが本物だとして、本人に返そうにも、もう何処に行ってしまったか分からないし、かといって、頂いたとしても、どうしていいんか分からんし…。

んー。

まあとりあえず、仕事続けながら、ここで待ってみるか。

ちょっと冷静になったら、「やっぱり、返してくれ。」って戻ってくるかもしれないし。

うん、そうしよう。

結局僕は、そのまま仕事を再開させたんだけど、この後、邪念が頭をかすめ続けて、ほとんど仕事に集中出来なかったことは、言うまでもない。(笑)

だって、待ってはみるものの、本音を言うと、やっぱり女性には戻ってきてほしくないねんもん。

使い道はないにしても、それは後でゆっくり考えるとして、とりあえずこんな高価そうな物が突然自分の手に入ったと思ったら、妙に興奮するねんもん。

分かるでしょ。

ただ、あの女性は、なんでこの時計をこんな形で手放そうと思ったんやろ

いくら酔ってたにしても、意味が分からない。

格好的に、ホステスさんでもなさそうやったしなあ。

何も、見知らぬ街の弾き語りにあげることないのに…。

逆に、見知らぬ人やからこそ、意味があったんかなあ。

たぶん、自分で買った物ではないんやろな。

そうじゃないと、俺にくれるわけがないもん。

以前、男性にもらった物なんやろ。うん。

そいで、その男性とケンカして別れたかなんかで、ヤケになってしまったんやろな。

お酒が入って、歌聴いて、ますますテンションが上がって、もうこんな時計いらんわ、って。

そこで、あえて見知らぬ人に時計をあげることで、もう二度と自分の手元に戻ってくることはない、っていうケジメをつけようとしたんやわ。

けど、いきなり時計がなくなるとやっぱり少し不便やから、はじめは交換って形をとろうとしたんやな。

うんうん、絶対そうや、それしか考えられへん。

だから、まあ、まったく第三者の俺からしたら、これぞ「タナからぼた餅」って感じで、あまり深く考えなくても、「ラッキー、ラッキー。」と思っておけばいいのかもしれない。

この後、仕事が終わる時間になっても、やはりその女性は現れなかった…。

なんにしろ、とりあえずその日は、ローズちゃん(勝手につけたロレックスのあだ名)を当時の家に連れて帰る。

家に到着した僕は、まず1時間ほど、ローズちゃんとにらめっこ

うーん、どうしよう。

ローズちゃん、先にシャワー浴びる?

ちゃうちゃうちゃう、そういうことじゃない。(笑)

ローズちゃんのこれからについて、ちゃんと考えなければ。

まず、ローズちゃんは、ほんとに本物なのだろうか、偽物なのだろうか?

もし、本物だとしたら、明日にでも、やっぱり酔いがさめて冷静になった女性が取り返しにくるかもしれないし、偽物なら、女性物ということもあって、僕が持っていてもあまり意味がないし。

うーん…。

よし、もうウジウジ悩んでても仕方がない。

期限を決めて、スッキリしてしまおう。

1週間や。

1週間待って、女性が現れなければ、もうローズちゃんは僕の物

本物だろうが、偽物だろうが、煮るなり焼くなりして、好きにもてあそばせてもらう。ふふふ。(笑)

逆に、もしこの1週間中にもう一回女性が現れたら、それは大人の道徳として、ちゃんとローズちゃんは持ち主に返してしまおう。

それで決まりや。

と、それが当時21,2歳の僕が考えた、とりあえずの結論だった。

つづく…。

P.S.

前回のコメントの返事は、あえてまだ書きません。
なんか、いろいろ見透かされてて、すごい恥ずかしいから…。(笑)
全部書き終わってから、返事しますね。恥ずかしいから…。

あと、予想以上に長くなってしまってるんで先に言っときますけど、そんなに大した結末じゃないですからね。(笑)
いや、ほんと。
書いてみるまで、こんなに長くなるとは思ってなかっただけなんです。
だから、あまり期待しちゃだめよ…。
いや、ほんと。(汗)

 

「煩悩」

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2006年9月23日 (土)

煩悩

続き…

その日から、僕とローズちゃんの短い同棲生活が始まる。

寝る時は、枕元にローズちゃんを置き一緒に眠り、仕事に向かう時は向かう時で、ローズちゃんを傷つけないように、ちゃんとやわらかい布に包んで同伴出勤するというラブラブミニコントで愛を育んだ。

そして1週間、日に日に緊張感は高まっていったものの、結局ほんとにその女性が現れることはなかった…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

というわけで、先述の大日本たかゆき憲法によって、その日から正式にローズちゃんは僕の物、つまり妻になったわけである。

Can You Celebrate ?

しかし一番の問題は、それよりもなによりも、正式に僕の妻となったローズちゃんをこれからどうするかということである。

実はこの1週間、僕も21,2歳なりの無い頭をふりしぼって、いくつものを考えていた。

やみくもに1週間過ごしていたわけではない。

見くびってもらっては困る。

ここでその案を、いくつか紹介しよう。

まずは、その1。

質屋に売りに行く。

その2。

せっかく1週間も共に過ごしてきて、愛着もわいてきたことだし、質屋に売りに行く。

その3。

やっぱりこんな高価な物、もらうわけにはいかないから、警察に届け出ることにし、警察署に向かう途中の質屋に売りに行く。

その4。

あっ、そうか。
僕がはめれないということは、女友達にあげればいいんだ。
じゃあ、どの子にあげようかな、っと。
うーん。
決めれないし、質屋に売りに行く。

その5。

その朝は皮肉にも晴れ渡っていた。
約束の広場に向かうジョセフは、今自分の置かれている境遇を嘆いた。
「これじゃ、まるで、ウイリアム・テルじゃないか…。」
国王は、ジョセフに濡れ衣の罪を被せ、広場でのある公開処罰を命じたのである。
ジョセフが広場に到着すると、すでにたくさんの群集と、真ん中には、頭の上にリンゴの代わりに瓜をのせられた息子のニックが、柱に縛りつけられていた。
王は言った。
「ジョセフよ。お前ら親子が罪から放免される方法はただひとつ。
今から、お前に7本の矢を授ける。
その矢すべてを、ニックの頭の上の瓜に命中させてみよ。」
めちゃくちゃな。
7本すべてだなんて。
しかし、今さら何を言っても遅い。
この国の政治は、あの頃からすでに崩壊していたのだから…。
ニックよ、すまん。
ジョセフは覚悟を決める。
1つ目の矢を静かに弓の中心に合わせる。
そして、目の位置、矢の先端、ニックの頭の上の瓜を同一線上に揃える。
ここでジョセフは、大きな深呼吸と共に、一旦目を閉じた。
その時、ある言葉が頭をよぎる。
「7・矢に・瓜・ニック。」
「ひち・やに・うり・にっく。」
「質屋に売りに行く。」

   ・
   ・
   ・
   ・
   ・
   ・

その108。

そうだ、質屋(京都)に行こう!

と、このように、人間の煩悩と同じ数だけ案を考えだしたんだが、僕はこの中で、悩みに悩みぬいた末、結局その55の「欽ちゃん走りで、質屋に売りに行く。」を選択したのである。

うん。

冗談はさておき、(笑)

とにもかくにも、質屋にローズちゃんを売りに行くことになったわけだが、実を言うと、そんな事ははじめっから決まっていた。

本当は、ギターケースから時計を取り出し、それがロレックスだと分かった瞬間から、ああ質屋さんに売りに行こうと漠然と思っていたのである。

ただ、タイミングを見計らっていた。

やはり、自分の中の倫理観や相手の事を考えると、すぐに売りに行くということがなかなかできなかったのである。

そして、1週間という期間を決めたおかげで、今ようやく自分の心にも説明がついたわけだ。

ただ、質屋ってどんなとこ?

今でこそ少しずつ、気軽に利用できるイメージができてきたかもしれないが、当時21,2歳の純粋(?)な僕にとっては、質屋など、完全に未知の領域であった。

実際に行くとなると、昔からのTVドラマや、Vシネマなどの影響からか、怪しくて怖いイメージしかわかないのだ。

借金の形、盗品、警察ざた、などなど…。

そんな所に、普段からただでさえ見た目が怪しいと言われている僕が、しかも女性用の時計を、箱も何もついていない裸の状態で持っていって、何とも思われないのだろうか。

それに、このロレックス、まだ本物と決まったわけではない。

もし鑑定してもらって、偽物だとか、ましてや盗品だなどと判明したら、きっと質屋さんには警察直通のボタンか何かがあって、それを押されて、すぐに警官が駆けつけて、僕は逮捕されて、牢屋に閉じ込められてしまうんだ。

ちょっと本気で、そんな事まで考えていた。(笑)

かといって、ほんとの事情を説明したところで、それは何の意味も無さそうだし、かえって足元をみられそうで嫌だ。

やっぱり、少しでも高い値段で買い取ってほしいもんなあ。

まあとにかく、行動を起こさない事には何も始まらない、ということで

次の日の夕方

僕は、あちらに足元をみられてナメられないように(完全に妄想)、出来る限り最大限の正装をして、ローズちゃんと共に欽ちゃん走りで(嘘)、家を出た。

当時、僕は大阪の十三(じゅうそう)という所に住んでいた。

大阪の方は知っていると思うが、ここ十三という街は、大阪の中でもかなりディープな場所で、歩いてる人全員「じゃりん子チエ」の登場人物として出てきそうな、なんとも怪しい雰囲気満点の街なのである。

そんな街(どんな街?)だから、もちろん質屋などいたるところにある。

僕は、その中の何軒かをまわり、一番高値をつけてくれた所でローズちゃんを売ろうと考えていた。

しかし、高値とは一体いくらくらいのもんなんだろうか?

僕は当時、ロレックスの相場なんて、もちろんほとんど知らない。

いくらぐらいで、納得したらいいんだろう。

さらに、もし偽物だったとしたら、何か言われたり、変な書類を書かされたりするんだろうか?

うーん、分からん…。

まあこのローズちゃん、本物だとしても、結構シンプルで、そんなに高級モデルって感じでもないので、そこまでは高いものではないだろう。

いくらロレックスとはいっても、ピンからキリまであるやろうからな。

その中でもきっと、下の方のランクのモデルだろう。

うーん、そうやなあー、なんぼくらいやろ。

質屋って、かなり安く買い取るっていうイメージがあるし、それにこれ箱も何にもついてないもんな。

ギターケースに投げ入れたくらいやから、細かい傷もいっぱい付いてるやろうし。

よし、じゃあ1万円や。

本物だとしたら、1万円を基準に考えておこう。

実際、1万円で売れたらかなり嬉しいし。

あの時の歌の報酬が1万円ってことやもんな。

うん、うん。

ああ、ドキドキ。

まずは、1軒目

ここは、家から歩いてほんの数分のところにあって、路地裏にひっそりとたたずむ、いかにもっていう感じのちっちゃなちっちゃな質屋さん。

1週間前から、1軒目はここにしようと決めていた。

覚悟を決めて、薄暗い扉を開ける。

中に足を踏み入れると、せまい店内には木製のカウンターがあり、そのカウンター越しに50代くらいのおばちゃんと、さらにその奥には同じく50代後半くらいのおじさんが座っていた。

おそらく2人だけの、夫婦経営なんだろう。

扉の色と同じで、やはり店内も薄暗い。

「いらっしゃいませ。」

おばちゃんの方が僕に声をかける。

この時、僕の緊張はピークを迎える。

脈打つ心臓の音が、せまい店内に響き渡ってしまいそうな勢いだ。

あかん、たかゆき。

落ち着け、落ち着け!

ナメられへんように、なるべく冷静な金持ちのお坊ちゃんになりきるんや。

こんなとこは、何べんも利用してる、ってな感じで。

上から目線で攻めるんや。

「オホンっ!今日は、ちょっと見てもらいたいものがあって来たんだけど。」

「はい、じゃあこの用紙に必要事項を書き込んでくださいね。」

こちらのお坊ちゃま作戦に対して、いとも簡単にいかにも事務的に切り返すおばちゃん…。

「は、はい、分かりました…。(汗)」

その用紙には、住所や氏名、電話番号などの他に、売りに来た商品に関しての詳しい情報を書き込む欄があった。

とりあえず、住所や名前は、嘘を書いても仕方がないのでちゃんと書き、商品については、「ROLEX」とだけ書いて困っていると、

「ああ、分かる範囲だけでいいですからね。」

と、ものすごい満面の笑みでさとされた。

あかん、やっぱり慣れてはる。完全にあっちの方が上手や。

初心者なのも、もろバレだ。

恥ずかちい…。

「じゃあ、品物をだしてくださいね。」

そう言われて、すでにの状態に戻っている僕は、慌ててポケットから布に包んだローズちゃんを取り出し、カウンターの上に置いた。

「こ、これなんですけど…。」

「はい、お預かりしますね。腕時計ですね。」

そう言っておばちゃんは、ローズちゃんをカウンターから取り上げ、すぐに奥のおじさんの方に手渡した。

女性物であることに関しては、まったく気にしていない様子だ。

おじさんは、無言でローズちゃんを受け取ると、目の前のデスクのライトを点け、左目に専用のルーペみたいな物を装着し、完全な鑑定モードに入った。

うわー、こんなちっちゃい質屋さんでも、やっぱりすげえ本格的
まるで、TVドラマ見てるみたいや。
ちょっと感動。
しかし、緊張…。

プロの鑑定士と化したおじさんは、一心不乱にローズちゃんをあらゆる角度からこねくり回している

うわー、まじでめっちゃ緊張する…。

どーしよー。

もし、偽物やったら、どうなんねんやろ。

先に住所とか書いてもうたしなあ。

しかし、おじさんの顔からは、それをうかがい知ることは出来ない。

おばちゃんは、事務仕事に戻っている。

あかん、恐い…。

もう、1万円もいらんから、それ返して…。

そして2,3分後、不安やら極度の緊張で僕の頭の中がえらいことになって、限界に達しかけた時、突然おじさんが鑑定の手を止め、ムクっと立ち上がり、カウンターの方にやって来た。

来たーーーーー。

もう、心臓が口から飛び出そうだ。

「うーん。」

おじさんが、初めて口を開いた。

なんだか、渋い顔になっている。

「残念ですけど…、」

そう言いながら、左目に装着しているルーペを外す。

うわー、やっぱり偽物やったんやー。(涙)

「このロレックス、もう今は人気があまりないモデルなんで、そんなに良い値段は出せませんねー。
大変申し訳ないんですけど。」

えっ、やっぱ本物なの!?

もー、惑わせんでやー。

けど、すげー!

やっぱり、本物やったんや!

なるほど、けど今は、人気のないモデルなわけやね。

そっかー。

じゃあ、なんぼぐらいなんやろ?

1万円にも満たないってわけか。

よし、そう思ったら、少し冷静になってきたぞ。

「じゃあ、おいくらぐらいなんですかねえ?」

「うーん、そうですねー。
今言ったように、あまりいい値段は出せないんで、ウチでは10万円くらいっていったところですかねえ。
すみません。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

じゅ、じゅ、10万円!!!!????

あかん、またパニックや。

オシッコもれそう…。

信じられへん…。

ローズちゃんって一体何者やねん。

10万円って言って、謝られてるで…。(苦笑)

ああ、もう何も考えられへんわ。

頭の中、真っ白や。

「どうされます?やめとかれますか?」

このおっさん、何言ってんの?

やめとくって何?

この世界に、「やめとく」なんて言葉があるの?

聞いたことないけどなあ。

それって、食べれるの?

おいしい?

ただ、いいか、たかゆき。
最後くらい頑張って、ちょっとは格好つけようぜ

分かるよな。

さあ、GO!だ。

「えーー!?

たった、10万円かあーー。

うーん、どーしよーかなーー?

そうやなあー。

まあ、しゃあないかなあー。

けどなあー。

まあなあー。

やっぱ、やめとこっかなー。

いやあなあー。

うん、じゃあまあ今回は仕方ないんで、その値段で買い取ってもらいましょうかね。」

と、僕は、足を震わせながらも、今世紀最大のまったく無意味な強がりを見せた。

「そうですか。ありがとうございます。
では、何か身分証明になる物のご提示と、こちらに承認のサインをいただけますか。」

「あ、はい…。」

僕が、念のために持ってきておいた保険証を出し、書類にサインを書いている間に、おばちゃんは金庫らしき所から、きっかり10枚の一万円札を持ってきた。

そして、その10万円を、確認し終えた保険証と領収書と一緒に僕に手渡した。

「それでは、ありがとうございました。」

それらを、奪い取るようにおばちゃんから受け取った僕は、すべて無造作にポケットに突っ込み、無言のまま、逃げるように店を飛び出した。

ああ、終わった…。

外の空気を胸いっぱいに浴び、とりあえず深呼吸

ふうー。

そして、質屋さんの気が急に変わったらいけないので(笑)、すぐに家に逃げ帰る。

しかし、10万円って…。

まったくもって、想像もしてなかった金額やなあ。

ロレックスって、ほんまに凄いんやな。

ということは、買った時の値段はいくらやったんやろ。

あかん、考えんとこ。

考えるだけで、恐ろしいわ。

・・・・・・・・・・・・。

あっ、そういえば、いろんな店まわって、値段比較するの忘れてた…。(汗)

まあ、けど、しゃあないわ。

あん時に、そんな事考える余裕はまったく無かったもんな。

無理、無理。無理ですよ。

それに、もう10万円で十分すぎる

それ以上もらったら、バチがあたるわ。

けど、よく考えてみると、じゃああの時の2,3曲の報酬が、10万円ってことか。

ひゃー、恐ろしい。

そして、ローズちゃん、夢をありがとう!

結論。

やっぱり、俺の仕事は変な仕事!

そう再認識した21、2歳の僕は、それから1ヶ月くらいは、そうはいってもやはり、あの女性が再度現れはしないかと怯え続けていた

だって、今さら返してくれって言われても、もう現物持ってないねんもーん。いやーん。

ああ、こわ。

ただ実際には、二度とあの女性が現れることはなかった…。

さて、その時の10万円の行方はというと、やっぱりそういう風に手に入ったお金というのは、貯金などには回してはいけないということで(なんで?)、2週間もしないうちに、友達みんなにオゴリまくって、跡形もなく消え去ったとさ。

若いって、こわいね☆

めでたし、めでたし。(どこが?)

おしまい。

P.S.

前回も言いましたが、今回みなさんの展開予想がことごとく当たっていて、すごく恥ずかしかったです…。(涙)

だからみんな、もう展開予想なんてしちゃやあよ。ねっ。(笑)

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